3.低体温をからくるカラダの不調

低体温は長く放置すると疾患のリスクが高まります。

「低体温といっても、特に不調は感じない」「もともと体温は低いけど、病気ってわけでもない」などと考えていませんか?

低体温を放置するのは、健康に対する悪循環の始まりです。低体温は、カラダの様々な部分(特に血液)に大きな影響を与えます。

血流は体の隅々まで栄養を運ぶ役割があります。その血液が滞ると、様々な不調が現れてきます。

免疫機能の低下、内臓機能の低下、肌荒れ、太りやすくなる、顔色が悪くなる、うつになりやすくなる、など確実に私たちのカラダに悪影響を及ぼします。

たかが、低体温と甘く見ずに、日ごろから体温管理を心掛けていきましょう。

【Pick Up】健全なカラダをつくる「気」と「血」と「水」

健全なカラダをつくる「気」と「血」と「水」。
低体温は、このカラダの循環を乱してしまいます。


低体温によって引き起こされる症状

肌荒れ

低体温だと血流が悪くなり、肌の新陳代謝(ターンオーバー)が正常に進まなくなります。
その結果、肌荒れ、肌のくすみなどの肌の状態に変化があらわれます。

慢性的な疲労感

低体温の状態は代謝が上手く行えていない状態です。
そのため、休んでも疲労感が常につきまとい、疲れやすいカラダになっていきます。

生理痛・婦人科系の疾患

ひどい生理痛に悩まされている女性は少なくありません。女性のカラダの中でも子宮は特に冷えやすい部位です。低体温状態の方は子宮も慢性的に冷えています。

「女性は下半身を冷やしてはいけない」とはよく言われることですが、これは女性特有の病気の原因が冷えと直結するためです。個人差もありますが、冷えている人は生理痛が思い傾向にあります。

また、生理は必要がなくなった血液を体外に排出するカラダの機能ですが、低体温になると、この排出機能が衰えます。

そのためうまく排出できなかった血液が溜まり、至急内膜症や子宮筋腫の原因となる場合があります。

うつ

うつ状態とは、一言で表現することが難しい症状です。血流が悪くなることが重なり、脳への血流不足が脳のエネルギー不足を引き起こした状態と言われています。

楽しみや喜びを感じない、何か良いことが起きても気分が晴れない、趣味や好きなことが楽しめないなど、憂鬱な気分が続くとうつの前兆と言われています。

うつは、画像診断ができないことや外科的手術が行えず心理的な感覚が大きな要素となること、そして、薬物療法をはじめると抗うつ剤は常用性があるため、なかなか抜け出せなくなる点がうつの怖いところです。

高血圧・心筋梗塞・脳梗塞

低体温になると血液の流れも滞ってきます。流れが滞りがちになると血管の内側に汚れがたまりやすくなり、さらに血液の流れが悪くなるという悪循環になります。

そうすると、心臓は今までよりさらに力を入れて血液を押し出さなければいけなくなります。これが「高血圧」です。

この状態になと心臓に負担がかかるので心筋梗塞にもなりやすく、けつりゅうが悪くなるとことで血栓もできやすくなります。この血栓が脳内でできると脳梗塞になります。

ガン

体温が35℃台のとき、ガン細胞は最も活発になると言われています。それは、ガン細胞を倒してくれる免疫細胞があまり働かないためです。

つまり、免疫力が低下している状態です。逆にカラダを温めると免疫細胞が元気になりガン細胞は減少していきます。

特に女性は冷えている?

女性は男性よりカラダが冷えやすいと言われています。それは「筋肉量が少ない」「脂肪が多い」この2つが主な理由です。

女性は男性より筋肉が少ないので、基礎代謝量も少なくなります。基礎代謝は熱を生産するので、筋肉が少ないと熱をつくることができません。

しかも、筋肉は血流が豊富な組織なので筋肉量が少ないということは全身を巡る血液の量も少なくなり全身が温まりにくくなるのです。

また、女性は男性にくらべ脂肪が多い傾向にあります。脂肪には血管がほとんどないので断熱効果がある反面、一旦熱が逃げてしまうと外から熱を加えても伝わりにくくなります。

さらに筋肉が弱いとポンプ作用が十分に機能せず、血液やリンパの流れが悪くなり、むくみの原因にもなります。オフィスでも家庭でも、男性は女性よりエアコンの設定温度を低くしたがりますよね。温度の感じ方の違いも筋肉量の差によものなのです。

それでは、男性は冷えていないのか?

いえいえ、冷えている男性も多いのです。女性はカラダが冷えやすい構造ですが、男性は生活習慣的な要因が大きく関係しています。あなたの近くにも、こんな生活をしている男性はいませんか?

とある会社員Aさんの例

メーカー勤務の40代Aさんは、中間管理職となり、また、職場で上司と部下にはさまれストレスを感じるようになりました。

残業帰りにキンキンに冷えたビールを飲み、酔っ払ったまま帰宅して就寝。朝はシャワーだけ浴びて、朝食摂らずに缶コーヒーだけのみ出社。偏った食生活、睡眠不足、お酒の抜けないカラダ、むりやり栄養ドリンクを流し込む、こんな毎日です。

このような生活習慣はカラダを冷やす原因となりますが、Aさんのような方はとても多いのが実情です。

忙しい男性の多くは運動不足で筋肉量が減少していることに加えて、脂っこいものばかりリ食べて脂肪を溜め込んでいます。前述した女性の体質に自ら近づいているのです。

さらに、多くの男性が頼りにしている栄養ドリンクには意図的に交感神経を刺激するカフェインが入っています。二日酔いのときに飲む頭痛薬も血管を収縮させて体温を下げるので、血行不良の原因となります。


<豆知識>冷え性と低体温

「冷え性」と「低体温」はよく似ているので同じように使われることが多いですが、若干意味合いが違います。それを理解するには、冷え性をタイプ別に分けるとわかりやすいです。

冷え性には3つのタイプがあり、1.四肢末端型冷え性、2.下半身型冷え性、3.内臓型冷え性

四肢末端型冷え性は、手足が冷たくなります。わかりやすい冷え性ですね。

下半身型冷え性は、名前の通り下半身が冷える冷え性です。上半身は温かく、足先、ふくらはぎ、太ももと冷えるる範囲が広がっていきます。

内蔵型冷え性は、いわゆる「かくれ冷え性」です。内臓の温度が低下することでこのタイプの冷え性になり、胃腸障害や、腎臓機能の障害が引き起こされます。食生活の乱れによってもリスクが高まります。

この3つのタイプの冷え性の中で低体温に直結しているのが「内臓型冷え性」です。手足が冷たいけれど体温は低くないという人はいますが、内臓が冷えることによって体温が低下するので、内臓が冷えている人は継続的に体温が低い状態になります。

これが低体温です。冷え性という自覚がなく、どんどん症状を悪化させてしまう低体温には、日ごろの生活から上手にカラダ全体を温めることが正解ですね。

【Pick Up】冷え対策にバスソルトで足湯はどうですか?

冷え対策にバスソルトで足湯はどうですか?

ヒトの温度センサーは足首の近くにあります。ですから、足湯は温熱効果の良い上手な温め方なのです。

どうせなら少しオシャレにバスソルトを使ってみてはいかがですか?バスソルトは保湿効果が高いため代謝もアップします。

バスソルトで足湯をするなら、使用量より少し多めを熱湯に溶かすのがおすすめです。浴槽に腰をかけて足湯をするのも良いですし、ちょっと深めのウォッシュタブやバケツを使えば、お部屋でテレビや雑誌を見ながらのんびり楽しめます。

発熱、炎症は冷やす

ここまでは、温めることの重要性を学んできましたが、もちろん温めると逆効果になる症状もあります。体温管理の一環として温めてはいけない症状を知りましょう。

基本的には温めることによる最大の効果は血行促進です。そのため、一気に血行促進がなされると危険な症状や疾患もあります。

それが、血液が流れる血管に関わる症状です。動脈硬化や大動脈瘤などの方や、血管自体がもろくなっている方は、急激な温度変化に要注意です。

このような病名を付けられる症状でなくても注意は必要です。それは、冷やすことが対処法になる場合です。

炎症は傷や打撲等で幹部が充血して赤くなり、熱をもつたり腫れたりして痛みをともなう症状です。これはカラダの傷ついて部分の組織がケガに反応したたために起こるものです。

炎症を起こしている部分では血管の拡張、血流の増加、血管からの血液成分の組織への漏出、白血球の炎症組織への侵入、局所的に作られた物質による神経への刺激などがあります。

この状態のときは、冷やして血管を収縮させることで回復が早まります。患部を温めてしまうと逆効果になるので注意してください。

【Point】高血圧は温め方を慎重に

高血圧は温め方を慎重に。

高血圧(伸縮血圧140mmHg以上、拡張血圧90mmHg以上)は男性では34.6%、女性では24.8%もいるといわれています。高血圧は動脈硬化の3大要因(高脂血症・喫煙)の1つといわれるように注意が必要な状態です。

高血圧が刺激なにり血管の内皮脂肪が傷つき、血管の内膜が血液中の脂肪物質を取込みやすくなります。取込んだ物質が蓄積し、血管壁が厚くなり(血管が狭くなり)血流が悪くなります。

血流が悪いと心臓が強い力で血液を送り出そうとするので、血圧がさらに上がります。より血圧が上がると血管や動脈に高い圧力がかかり続けるので、血管の細胞や繊維が発達し、血管壁がさらに厚くなります。

このような状態が繰り返され、悪循環が続きます。つまり、高血圧により動脈硬化が進み、進行した動脈硬化により高血圧が進み、それが動脈硬化をさらに進行させます。

その結果、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血などのリスクが高まります。高血圧の方は、寒い日に厚いお風呂に急に入るなど血圧が一気にあがるような温め方はやめましょう。

<豆知識>スポーツの後にアイシング&温めを

運動の後に筋肉が熱を持っているように感じたことはありませんか?激しい運動をすると、筋肉組織の小さな炎症や人体・関節の炎症が起こることがあります。それを修復しようと幹部に血液が集まるため、温度上昇が起こります。

筋肉が厚くなっている状態が続くとエネルギーを消費します。余分なエネルギー使用を抑え、疲労回復を早めるには「アイシング」&「温め」が基本です。

血液には組織を修復する役割りがありますが、運動後に素早くアイシングをして、適度にクールダウンさせることで、上昇した温度を落ち着かせて、余分なエネルギー消費を抑えるとともに、炎症の広がりを抑え回復を早めることができます。

また、ケガによる炎症がない場合は、温度上昇が落ち着いたところで温めることで、筋肉が柔軟になり、血流を良くしてさらに回復を早めることができます。

さらに、アイシングと温めを交互に行うことで、温度差によるポンプ作用が働き、老廃物の流れを促すことができます。

【Coffee Break】月とカラダ

満ちていく月の期間は「吸収期」、掛けていく月の期間は「排出期」

月はカラダに影響を与えていると考えられています。地球の70%は海で、月の引力によって満ち引きがおこります。私たちのカラダも70%が水分です。

そのことから、月の満ち欠けにより、ヒトのカラダやココロも影響を受けていると考えられています。

月は約1ヵ月をかけて地球を一周しますが、大きく分けて満ちていく月の期間(上弦)、掛けていく月の期間(下弦)に分けられます。どちらの期間であるかによって、エネルギーが変わってきます。

新月を過ぎて満月になるまでの約14日間は満ちていく月の期間で「吸収」の期間です。ダイエットよりもエネルギーを吸収することにあてた方が良いと考えられています。

逆に満月を過ぎて新月になるまでの14日間は掛けていく月の期間で「放出」の期間です。断捨離のように要らないものとお別れするのに適していると考えられます。

ちょっと体温管理から横道がそれてしまいましたが、月とカラダのお話でした。